事例紹介 東レ株式会社様

お問い合わせ管理システムのクラウド化とkintoneの活用で92%コスト削減

創業以来、基礎素材メーカーとして、新分野・新素材の開拓に励み、創業時の繊維に加えて、フィルム、ケミカル、樹脂、さらには電子情報材料、炭素繊維複合材料、医薬・医療、水処理・環境といった様々な分野において多くの先端材料、高付加価値製品を創出されている東レ株式会社様。世界29か国・地域に拠点を置き、国内外290社のグループ企業で事業を展開されています。

この度、グループ企業全体で利用するお問い合わせ管理システムを、kintoneとAWSを活用して刷新されました。

(kintoneはサイボウズ株式会社のサービスおよび商標または登録商標です。)

脱オンプレミスと、データ活用できる仕組みの導入を検討

東レグループ全体における、お客様からのお問い合わせ総数は毎月約3,500件、お問い合わせ対応を業務の一部にもつ利用者(社員)の数は約4,000人に上ります。日々多くの社員が利用されているお問い合わせ管理システムを刷新した背景を伺いました。

導入の背景

「旧システムはコストの課題を抱えており、サービス終了に伴いクラウドサービスの導入を検討したのがきっかけです。旧システムはオンプレミスのサーバーを基盤としており、サーバー数もサーバーライセンス数も多く、運用に手間もコストもかかっていました。また、約4,000人分のユーザーライセンス費用も莫大であり、さらにユーザー利用権限は手作業で個人単位毎に設定する必要があったため、高い運用負荷がかかっていました。」(伊藤氏)

「また、基盤面のみならず業務面にも課題がありました。旧システムで対応できるのは一次回答までであり、二次回答以降のやり取りはすべて個人のメールで行っていました。お問い合わせの中には商談に関わるものもありますが、関係者間での情報共有や、対応履歴の追跡が容易ではありませんでした。企業にとって有効な資源である「情報」を活用するためにも、お問い合わせ情報の一元管理化の必要性を感じていました。」(佐藤氏)

佐藤 正憲 氏

東レ株式会社
マーケティング企画室 ウェブ企画グループ 主任部員
佐藤 正憲 氏
(システム導入同時は宣伝室ウェブ企画グループ 主任部員)

システム利用者4,000人のライセンス課題を解消

東レ株式会社様は新システム候補の一つにkintoneを選び、サイボウズ社にお問い合わせをされました。しかし約4,000人分のライセンス費用負担が課題に。そこでサイボウズ社が東レ株式会社様にご案内したのが、キヤノン電子テクノロジーが提供する「kintone 導入・構築・活用支援サービス」です。

選定の理由

「今回のシステム刷新以前から、IT業界や製品・サービスの情報収集をする中でkintoneには興味を持っていました。スクラッチ開発と違い、kintoneを活用したローコード・ノーコード開発で簡単に業務アプリが作成できることに魅力を感じており、セミナーや展示会にも参加して理解を深めてきた経緯もあったため、kintoneならばうまくいくのでは、という期待を持っていました。」(坂下氏)

「kintoneを利用することでデータの一元管理や可視化が可能になることに期待がありましたが、ライセンス費用が課題となり一時はあきらめかけました。しかしサイボウズさんよりご紹介いただいたキヤノン電子テクノロジーさんから、最小限のライセンスで要件を実現するご提案をいただいたことで、話が進展しました。」(佐藤氏)

木部 勝弘 氏

株式会社東レシステムセンター
ソリューション1部 部長
木部 勝弘 氏
(システム導入当時は基幹システム事業部 部長)

「ライセンス数が抑えられることで、ライセンス管理の負担を軽減できることも選定の決め手になりました。また、選定時の機能要件の一つに、保守業務のことを考慮して機能を過度に作りこまずに利用できることを挙げていましたが、ノーコード・ローコード開発ができるkintoneがベースであり、システムがブラックボックス化しにくい点も魅力でした。その他に、多言語対応やグループ間転送などの既存機能を踏襲する要件と、メールへの通知やCRM連携などの新規機能の追加要件を挙げていましたが、いずれの要件も満たされるため選定に至りました。(木部氏)

構成図

構成図

大幅なコスト削減とデータの一元管理を実現

導入効果をお伺いしました。

導入効果

「新システムはサーバーレスのため、初期費用と運用コストの大幅な削減になりました。またライセンスコストも抑えられた結果、旧システムに比べて92%のコスト削減(サーバー利用料83%減、ユーザーライセンス料95%減)を達成しました。このほかに、サーバーの保守運用やユーザーの権限管理にかかるコストも削減されています。さらに既存AzureADとの連携が実装されたことで、利用者はシングルサインオンとメールアドレスのサジェスト入力ができるようになり利便性が向上しました。

言うまでもなく、お問い合わせ情報の一元管理により、関係者との情報共有や履歴管理がシステム上で完結できるようになったことは大きな効果です。利用開始から約10か月経ちましたが、長年利用してきた旧システムとの差異もあり、刷新直後には利用者から多くの改善要望が寄せられました。新システムで慣れていただく部分・改善が必要な部分と区別して利用者のフォロー及び改善対応を進めてきた結果、改善要望はほとんどなくなり、現在はデータ活用に関する質問や要望を受けることが増えました。利用者もデータを一元化して蓄積することに価値を見出していると感じます。」(伊藤氏)

伊藤 久美子 氏

株式会社東レシステムセンター
ソリューション1部TS3-G
伊藤 久美子 氏
(システム導入当時は基幹システム事業部SI1課)

「営業が以前から利用しているCRMと、お問い合わせデータが蓄積されたkintoneを年内に連携する予定です。これまではWeb経由のお問い合わせ情報が営業から見えにくい仕組みでしたが、営業からのリクエストもあり、情報連携をすることで顧客管理を最適化し、マーケティング強化につなげていきたいと考えています。」(佐藤氏)

経営の高度化に向けてグループ全体でデジタル活用を推進

今後の展望をお伺いしました。

今後の展望

坂下 学 氏

東レ株式会社 
経営システム企画推進室 室長
坂下 学 氏
(システム導入当時は基盤システム推進部 主席部員)

「今回はkintoneとAWSを基盤にお問い合わせ管理システムを刷新し、コスト削減とデータ活用の土台作りを実現しましたが、他にもkintoneやクラウドを活用して改善できる業務があると思っています。今後、業務効率化のために新たなサービスを導入してコストを費やしたりリスクを追ったりするよりは、既に利用実績のあるkintoneを活用することで低コスト・低リスクかつスピーディに改善できることもあるはずです。kintoneをカスタマイズする場合には相応の開発スキルが必要ですが、小~中規模の業務アプリ作成にはkintoneのテンプレートは有効であり、まだまだできることがあるのではないか、と大きな可能性を感じています。」(坂下氏)

「お問い合わせ管理システムは、様々なステークホルダーからの声を吸い上げる非常に重要なツールでありアンテナです。SFAやCRM、MA等の他システムと連携し、各ステークホルダーとのコミュニケーション向上を図っていきたいです。今後、蓄積したデータを分析することで製品開発につながることもあり得るため、価値創造という意味でも重要なツールであると位置づけています。」(佐藤氏)

「東レグレープの事業拡大に向けて、ITシステムが貢献していくために必要なのはデータだと考えています。データをどう作るか、データをどう活かすか……、真のデータ活用のために広い視点で最適解を導き出し、整備することで貢献していきたいと思います。」(木部氏)

集合写真

お客様情報

わたしたちは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」という経営思想のもと、企業活動を継続しています。「事業を通じた社会貢献」「長期的視点に立った経営」「人を基本とする経営」の3つのコアバリューと、顧客との共創によるイノベーションを通じて、社会の発展に貢献するよう努めています。

東レ株式会社様

東レ株式会社様

【設立】1926年
【売上収益】2兆2,285億円(2021年度)
【事業利益】1,321億円(2021年度)
【社員数(連結)】48,842人(2022年3月末現在)
【Web】https://www.toray.co.jp/

kintone 導入・構築・活用支援サービス
  • 本事例に記載の肩書や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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