事例紹介
株式会社清水銀行様
entrance Banking 導入事例
株式会社清水銀行様は、静岡県内を中心に本支店・出張所79店舗を展開する地方銀行です。パーパス「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」を活動の原動力に、地域密着型金融に注力しています。また、Jリーグ「清水エスパルス」の創立当初からスポンサーを務めており、地域との結びつきを大切にしています。2024年5月には勘定系システムの更改にあわせて、情報系統合データベースを当社の「entrance Banking」へ刷新しました。その更改プロジェクトの背景と内容について伺いました。
情報系統合データベース刷新がもたらす柔軟性と効率化の追求
entrance Banking導入の背景と選定の理由

株式会社清水銀行
事務部 統括役 勝見 貴郊 氏
「システム更改にあたり方針として掲げたのは、『システムのスリム化』『移行リスクの軽減』『内製化』の3点です。
システムのスリム化
旧勘定系システムは、業務部門の要望に応じて機能追加開発をしてきましたが、それ故に年々システムが複雑化し、システム保守・運用コストが増大するという問題が生じていました。一方、旧情報系統合データベースは、システム開発および運用・保守の全てを導入ベンダーへアウトソースしており、柔軟な追加開発が難しい状況にありました。そのため、本来は情報系統合データベース側で行うべきサブシステム(融資支援、格付自己査定、AMLシステムなど)との連携も、勘定系システム側でカバーせざるを得ず、開発スピードが遅くなることに加えて、システムの肥大化にも拍車がかかっておりました。
このような状況を踏まえ、新勘定系システムではカスタマイズを避け、標準機能を最大限活用、サブシステムとのデータ連携機能を情報系統合データベースに集約し、情報系システムのあるべき姿を見直すことにしました。
移行リスクの軽減
システムの移行にはリスクが伴います。これまで20年以上使用してきた勘定系システムを他社製の新勘定系システムへ更改するにあたり、信頼性の高いシステムとベンダーを選定し、業務の連続性を確保しなければなりませんでした。
そこで、移行リスクを最小限に抑えるために、情報系統合データベースの選定にあたっては新勘定系システム利用行での導入実績を選定基準の一つとしました。キヤノン電子テクノロジー社は新勘定系システム利用行における豊富な導入実績があり、安心して頼ることができると判断しました。また、その経験に基づくデータ整理と移行によってデータ連携の整流化・システムのスリム化を実現できることにも魅力を感じました。
内製化
前述のとおり、旧情報系統合データベースは、システム開発および運用・保守を導入ベンダーへアウトソースしていたため、必要な機能をあるべき形で実現できず、ノウハウも当行に残せない状況にありました。その反省から、新しく導入する情報系統合データベースの運用は内製化する方向へ大きく舵を切りました。そのためには、内製することで生産性向上の効果が得られる扱いやすい仕組みを有していることが必須でした。entrance Bankingは、開発ツール「ODIP」(ノーコードで大規模なバッチ処理が開発できるツール)を搭載しており、そのデモンストレーションを拝見したところ、当行でも柔軟でスピーディにカスタマイズが可能であると感じたことがシステム選定の大きな要因になりました。
また、entrance Bankingは銀行業務に特化したデータモデルを持ち、勘定系システムや周辺システムからのデータを一元的かつ時系列に統合データベースに蓄積することが可能です。これにより、旧システムでは難しかった、新商品・サービス開発のための顧客分析や、経営・内部管理体制の強化ができ、経営戦略の実現に寄与する施策に活用できると考え、新情報系統合データベースとしてentrance Bankingを採用しました。」(勝見氏)
内製化体制の構築とノウハウ習得を支えた常駐支援
entrance Banking導入に係るサポート体制
「情報系統合データベースの更改プロジェクトでは、要件定義からリリース後まで、キヤノン電子テクノロジー社の技術者が清水銀行に常駐し、内製化メンバーとなる清水銀行グループ会社の清水総合コンピュータサービス株式会社の社員とともに、システム開発・移行作業を進めながら、スキルトランスファーを行っていただきました。その結果、entrance Bankingの構成や開発手順、運用方法に関するノウハウを習得することができました。キヤノン電子テクノロジー社の技術者は新勘定系システムのデータ仕様を熟知しており、清水銀行が導入しているサブシステムにも精通していました。常に私たちが何を求めているかを考慮し、熱意をもってレクチャーしていただき、内製化メンバーにもとても好評でした。
また、entrance Bankingは全て純国産の開発ツール・ミドルウェアで構成されており、各種ドキュメントも充実していました。このため、内製化メンバーで既存帳票の移行を行うなど、自分たちで手を動かすことができる環境が用意されていました。

清水総合コンピュータサービス株式会社
システム部 リーダー 若月 辰徳 氏
さらに、本プロジェクトでは勘定系と情報系に加えて、収益管理システムも刷新しましたが、キヤノン電子テクノロジー社がデータ移行や他システム連携を一手に引き受けることで、計数の連続性を維持することができました。」(若月氏)
内製化が導く効率化と新たな顧客サービス創出への展望
今後の展望

株式会社清水銀行
事務部 次長 若杉 俊輔 氏
「現在、新情報系統合データベースの運用・保守フェーズに入っており、行内からの様々な要望に対して優先順位をつけながら、新機能を次々と提供しています。顧客や先数に関する情報をリアルタイムで可視化し、市場調査や営業活動に利用できる有益な仕組みを構築・活用できるよう進めています。また、これまで取り込めていなかった外部データ・行内データをまとめて収集・蓄積する仕組みを、ODIPを使用して内製化で効率的に構築することができました。今後はこれらのデータを利活用することで、DXの基盤となるシステムへと進化させていきたいと考えています。
加えて、内製化によるコスト削減も重要な目標になりますので、同システムを利用している他行の効率化事例を参考にしつつ、共同開発やナレッジの共有によって効果的なコスト削減を図っていきたいと考えています。
こうした内製化の取り組みは、システムと業務の両面で現場の意見を反映させながら行うことにより、限られた人的リソースを効率的に活用する方法の共有や、新たな顧客向けサービスを創出するための意識改革にもつながると考えます。entrance Bankingの更なる活用を推進し、データ利活用の範囲を拡げることで、経営ニーズに対してより迅速かつ柔軟な対応ができると期待しています。」(若杉氏)

お客様情報

株式会社清水銀行様
【本店】静岡県静岡市清水区富士見町2番1号
【設立】1928年
【Web】https://www.shimizubank.co.jp/
- 本事例に記載の肩書や固有名詞などは初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。