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事例紹介 第一中央汽船株式会社様

第一中央汽船株式会社様 基幹業務システムのダウンサイジング

第一中央汽船株式会社様 基幹業務システムのダウンサイジング

システム構築の背景

第一中央汽船株式会社は主に不定期船の分野で内航・外航の海運事業を行っており、鉄鉱石や石炭、原油などのエネルギー資源を中心に貨物輸送を手がけている企業である。これまで同社は、受発注業務から決算業務までを統合的にサポートする基幹業務システムをメインフレームで構築しており、西暦2000年問題への対応に伴いシステムリプレイスも行ってきた。当時は、海運不況のまっただなかで、コスト削減が強く求められるなか、次世代もメインフレームを使い続けていくと、コストがかかりすぎるため、システムのダウンサイジングを行う必要が生じた。
システムのダウンサイジングの背景について、このプロジェクトにおいて中核的な役割を果たした同社のグループ会社である第一中央システムズ株式会社の代表取締役社長 増田 晴治氏は次のように語る。
「1998年に2000年問題対応のため更新した主機は、2005年頃が次の更新時期となり、OSのバージョンアップも予定されておりました。このままでは、月々の運用コストが大幅な増加となるため、コスト削減を第一の目的としたダウンサイジングの検討に着手したのが、2000年秋でした。」

システムの概要

今回のシステム構築において、複数のOS、データベースが候補に挙がっていたが、最終的に選ばれたのは、複数のIAサーバー(Windows Server)による構成であった。
「アプリケーション開発は、クロスプラットフォームの開発ツールを採用したため、まずIAサーバーでテストし、その結果、Windows Serverで十分なパフォーマンスが得られると判断しました。」(増田氏)
従来使用していたメインフレームからのダウンサイジング手法として、現行のシステムをコンバージョンする方法が最後まで候補として残っていたが、一部の業務システムでは、単純コンバージョンが出来ず、修正・テストに追加費用が発生する。また単純コンバージョンでは、ソースリストがブラックボックス化となり、業務システム変更への対応が困難になる恐れがあった。

システムの概要

開発ベンダーとしてキヤノン電子テクノロジーを選定した理由

「海運関係の情報システム担当は少数で、横のつながりもあるため、当時、不定期船システムのダウンサイジングに取り組んでいる会社があるということを知っていました。その会社の開発担当者に問い合わせたところ、キヤノン電子テクノロジー株式会社を紹介していただきました。また、別の海運会社からもキヤノン電子テクノロジー株式会社の良い評判を耳にしていました。」(増田氏)
当社は、これまでの海運業界における実績を買われてシステム開発のパートナーとして選定された。
「他の言語へのコンバージョンや、一部パッケージを使用するということも検討していましたが、最も完成度が高く、費用が抑えられるのは、キヤノン電子テクノロジー株式会社と組んで自社開発することだと判断しました。やはり、そこで行っているサービスの価値や業務の重要性に関して、同じ価値観を持たないと良いシステムを構築することはできないと思っています。」とも増田氏は語る。

実はアジャイル開発※だった

増田 晴治 氏
代表取締役社長
増田 晴治 氏

今回構築するシステムは、既存のCOBOLを中心としたプログラム約3,200本のうち、3,000本(240万Step)の移行が必要であった。情報システムグループ次長 永田 幸治氏は、「20年にわたりオンライン業務をサポートしてきた既存システムには、私たちが知り得ないユーザーのノウハウが蓄積されています。
また、受発注業務から決算業務までを統合的にサポートする基幹業務システムのため、部分リリースができず、全面一括切り替えをする必要がありました。
新システムへの切り替え、移行の混乱を最小限にするには、いかに完成度の高いシステムを開発するかが、もうひとつの課題でした。」と、語る。
「今までのシステム開発では、伝統的なウォーターフォールモデルにより、作り手としての高い品質を維持してきました。しかし、ユーザー要求から、標準の各種工程を経て、ユーザーが実際に稼働するものを確認するのは忘れた頃になってしまいます。また、事前に仕様書に盛り込めなかった要件は、もれてしまうため、稼働直前になって、大幅な変更が発生したり、その場しのぎの修正を施すため、稼働開始時のシステムは不安定となる等のリスクがありました。
今回は、移行時の混乱を最小限にするため、機能をいくつかに分け、プロトタイプを作成した段階で、早めにユーザーレビューを受け、修正を繰り返すという、スパイラル的に完成度を上げていける手法を採用しようと考えていました。」(増田氏)

そこで、当社の開発チームは、スパイラル開発に向いているエクストリームプログラミング(XP)を意識した開発を実践した。

実際にプロトタイプによるスパイラル的な開発を採用することによって、大きな後戻りはなく作業を進めることができた。また、ユーザーと直接話をして、小さな後戻りを繰り返しながら、システムを作り上げていくことで業務に習熟し、SEとしての業務レベルも上がり、ユーザーとのコミュニケーションもよくなるという非常によい成果をあげ、完成度の高い成熟したシステムを構築することができた。
「この手法が、今でいえばアジャイル開発の発想とよく似ており、結果的にアジャイル開発をしていたのだと、つい最近になって気づきました。」(増田氏)

※アジャイル開発とは、必要なソフトウェアを、短期間でかつ柔軟に構築する手法の総称したもの。代表的なアジャイル開発手法としてXP(エクストリーム・プログラミング)があげられる。

わずか2週間での移行に成功

増田 晴治 氏 永田 幸治 氏

今回のシステム構築に与えられた並行稼働期間は年末年始をまたぐ2週間。
「2週間の並行稼働で本番切り替えを完了させるために、事前に本番さながらのトライアルを実施し、作業シナリオを作成しました。
また、メインフレームの頃とあまり画面を変えないよう設計(もちろん裏側の仕組みは変わっているが)していたため、初めて新システムの画面を見たユーザーもある程度システムの操作がわかるようにしました。ユーザーの教育においては変更部分に重きを置いた説明会を実施しました。」(永田氏)
このように最善を尽くして2005年12月の3連休に新システムへの切り替え作業を行い、2週間の並行稼働期間では大きな問題もなく、本番移行は無事終了した。

2002年2月に開発着手以来、4年の長期に渡った基幹業務システムのダウンサイジング・プロジェクトは、2006年2月に、メインフレームを撤去し、完了した。

ダウンサイジングの成果

コスト削減を第一のテーマとしておこなったダウンサイジングであるが、成果はどうだったのか。
「Windows Serverを選択したことにより、当初計画を上回る費用削減効果を得ることができました。特に、ネットワーク装置やプリンター等の周辺装置、技術サポート料、ライセンス使用料等は、大幅な削減となりました。
また、開発においても当初計画の費用、期間で達成でき、低価格でのシステム再構築を実現できました。
現在、シンガポール事務所は、仮想シンクライアント方式を採用して、新システムを利用しています。このように、多種・多様なWindows対応製品から、コスト面も含め、要件に応じた柔軟なシステム構築の可能性が拡がりました。」(増田氏)

今後の展望とキヤノン電子テクノロジーに対する期待

河口 貴史氏
情報システムグループ次長
永田 幸治 氏

「規模の大きいソフト開発の場合、開発期間、コスト、仕組みが当初の計画通りに収まることはなかなかありませんが、今回は想定通りに収まりました。
キヤノン電子テクノロジー株式会社の貢献は非常に大きかったと感じています。特に優秀なPMと出会えたことは、幸運でした。長期間にわたるプロジェクトで、いくつもの壁がありましたが、各メンバーが自信をもって取り組んでいる姿が、印象的でした。新システム切り替えは、丁度クリスマスで、本社の社長の差し入れ等もあり、みんな燃えていました。
翌営業日に何事もなく稼働を開始したときは、プロジェクトXの主人公になっていましたね。(笑)全員がヒーローでした。本当に感謝しています。」(増田氏)

現在、当社はシステムのリニューアル以降、開発・運用メンバーとして継続して作業している。

「新システム稼働後は、ITILを活用した運用管理標準の策定、IT内部統制対応等に取り組み、安定稼働をめざした改善活動を継続しています。2008年度のサービス停止は、1件で1時間。原因はUPS障害でした。稼働から4年になりますが、ソフトウエア障害によるサービス停止は、まだありません。
Windows Serverの安定度も『隔世の感あり』、大変満足しています。(笑)」(永田氏)
今後の当社に対する期待を、永田氏は、「日々十分なコミュニケーションは取っていますので、言うことはあまりないのですが、あえて今後の期待を言わせてもらうなら、新しい技術を取り込んで、次期システムリプレイスに向けたパイロットシステムを作成してもらいたいです。」と語る。
「Windows環境の運用管理基盤は、まだまだ未成熟です。現行の運用管理プロセスをブラッシュアップして、見える化、効率化・自動化に取り組んでもらいたい。
また、数年後にはマネージャ向け『経営コックピット』プロジェクトを立ち上げたいですね。コミュニケーション革新のトレンドにふさわしいコンテンツが課題です。」と増田氏は今後の展望を語った。

会社情報

第一中央汽船株式会社様
第一中央汽船株式会社様
【設立】 昭和35年10月1日
【資本金】 13,258百万円(平成22年3月31日現在)
【事業内容】 海上運送業
【従業員数】 陸上131名 海上41名 合計172名(平成22年3月31日現在)
(第一中央汽船グループの従業員449名)
【連結売上高】 111,842百万円(平成22年3月期)
【Web】 第一中央汽船株式会社
http://www.firstship.co.jp/新しいウィンドウを開きます

※本事例に記載の肩書や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。